オンチップウェビナー第二弾 Q&A:「water in oil ドロップレット・ゲルマイクロドロップレットを活用したシングルセル・ハイスループットスクリーニング技術の開発 」 石毛 真行 津田 宗一郎(オンチップ・バイオテクノロジーズ) - Microfluidic Chip-Based Gentle Cell Sorter, Single Cell & Cluster Dispenser | On-chip Bio

オンチップウェビナー第二弾 Q&A:「water in oil ドロップレット・ゲルマイクロドロップレットを活用したシングルセル・ハイスループットスクリーニング技術の開発 」 石毛 真行 津田 宗一郎(オンチップ・バイオテクノロジーズ)

2020年8月6日に開催されたシスメックス株式会社・オンチップ・バイオテクノロジーズ社合同ウェビナー第二弾のQ&Aです。
「water in oil ドロップレット・ゲルマイクロドロップレットを活用したシングルセル・ハイスループットスクリーニング技術の開発 」 石毛 真行 津田 宗一郎(オンチップ・バイオテクノロジーズ)
ご質問等がございましたらinfo@on-chip.co.jpにご連絡くださいますようお願い致します。

以下、ウェビナーの際に頂いたご質問とその回答になります。

Q: ソーターは1から10万程度の少量の細胞に適しているとのことですが、100万細胞も回収可能でしょうか。また100万細胞の回収に必要な時間はどの程度でしょうか。

A(石毛):例えば秒間100個で回収した場合、約3時間で1×10^6個の回収となります。純度を考えるとAll eventsを500events / Sec以下に抑えたいため、ターゲット比率20%のサンプルでこの回収時間になります。ターゲット比率10%の場合は、倍の6時間となる計算です。純度は90%前後が目安です。
ダメージフリーで回収しようとする場合、上記スペックとなりますが、細胞へのダメージ等あまり気にされない場合、弊社指定のバッファーを使用でき、最大スペックは、All events 1000events / Sec、ソーティング秒間300個となりますので、ターゲット比率30%の時、1×10^6個回収するのに約1時間となります。ターゲット比率10%の場合は、3倍の3時間となる計算です。
その他、繰り返しソーティングをすれば、1×10^6個回収するのに、どの条件でも3~4時間に抑えることが出来るかもしれません。

Q: 上記の方に関連して,0.1%程度の細胞をソーティングしたい場合,1万細胞程度取得するために要する時間はどの程度でしょうか。

A(石毛):母数1×10^7個中の1×10^4個という処理になるかと思いますが、普通にダメージフリーで回収する場合、All events 500events / Secと設定すると、ターゲット秒間0.5個で約5.5時間かかる計算になります。
この場合は、繰り返しソ-ティングをするほうが良く、15分を1回として3~4セット繰り返せば、純度良く回収できるかと思います。計1時間程度でダメージフリーで回収します。

Q: ゼラチンを使うメリットは、何ですか?

A(津田): メリットとしては以下のようなものが挙げられます:
(1) 細胞にやさしい条件(37℃) でゲル化を行うことができる。
(2) ゼラチンをゲル化させる酵素の働きにより、様々なタンパク質分子(iMatrixなどの接着因子やストレプトアビジンなど)がゼラチンゲルボール内に容易に固定化できる。
(3) 接着性動物細胞の場合、ゼラチンが足場として機能する。

Q: ドロップレットをソーターで検出後、1個ずつ、96ウェルに分注できますか?

A(津田): W/Oドロップレットの分注は現状では出来ません。しかし、微生物の場合回収したドロップレットをそのままプレート上に撒いてやることでコロニーを形成させ、釣菌させることが可能です。ドロップレット形成に使うフッ素オイルは揮発性が非常に高いため、最終的に揮発してしまいます。動物細胞の場合ではドロップレットを破壊し、細胞を回収した後、On-chip SPiSによって96ウェルへの分注が可能です。

Q: オイルではなく、培地やバッファーで液滴を作り、細胞を入れることは可能でしょうか?

A(津田): 残念ながらドロップレット形成のためには水と非混和性(immiscible)の液体で作成する必要があり、内封する溶液と非混和ではない培地やバッファーでの液滴形成は不可能となっています。

Q: GMDで細胞を補足するための工夫はどのようなものがあるのでしょうか?

A(津田): GMDの場合、細胞はゲル化すればGMDの中からは抜け出すことは増殖した場合を除き基本的に無いため、捕捉自体は容易なのですが、なるべく細胞をGMDの中心に位置させるため、ゲル化の際にゲルと細胞を含むW/Oドロップレットを振盪インキュベータによって振盪させながらゲル化させる、などの工夫は行っております(ゼラチンの場合)。

Q: ハイドロゲルを溶かすことは可能ですか?

A(津田): 可能です。ゼラチンの場合はトリプシンなどのプロテアーゼ、アルギン酸の場合はEDTAなどで溶かすことができることは弊社で確認しております。

Q: 麹菌の例ではどのくらいの時間培養しているのでしょうか?

A(津田): 文献 https://www.nature.com/articles/srep27223 によりますと、24時間程度で検出可能な酵素活性がみられた、とのことです。

Q: Protein Lビーズはラテックス粒子を用いているのでしょうか?

A(津田): プロテイン・エクスプレス社のProtein L磁気ビーズを用いております。ですが、磁気ビーズである必要性は無く、使用しているのは販売されているProtein Lビーズが磁気ビーズであったため、という理由によるものです。

Q: どのくらいのサイズのドロップレットが作製可能でしょうか?

A(津田): 弊社で現在発売しておりますジェネレーター用流路チップ(2D Chip-800DG)では、直径約20~60μm程度のドロップレットが作成可能です。これよりも大きいドロップレットが形成可能な流路チップについても近日発売予定です。 また、PDMSなどを用いたカスタム流路チップを使用すれば、それ以外の大きさのドロップレットも作製可能です。

Q: トリプシン処理が、その後の細胞の生存や増殖に影響しないのでしょうか?

A(津田): トリプシン処理の時間は数分程度と、接着細胞を剥がす際の処理時間と変わらないため、影響は非常に少ないと考えております。実際に動物細胞を封入したゲルボールをトリプシンにより溶かし、培養したところ問題なく増殖することは確認できております。

Q: PEGポリマーでもGMDが作成可能とのことですが、具体的にはどのようなPEGポリマーを用いているのでしょうか。

A(津田): これは九州大学工学研究院の神谷典穂教授との共同研究として行っているもので、チオール化した分岐PEGポリマーを酵素によりゲル化させております。
参考:
http://www.chem.kyushu-u.ac.jp/~kamiya/CFC-BT/Welcome.html
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/biot.201800085 

Q: ドロップレット外にも小さな粒が見られますが、それはonchipの機械で作成されたものでしょうか。

A(津田): おそらくドロップレット作製の際に出来たサテライト・ドロップレット(通常ターゲットとするサイズのドロップレット作製の際にできる微小なドロップレット)などではないかと思われます。これは常に出来る訳ではありませんが、封入する水相の条件(溶解している成分や粘性など)によって発生する場合があります。

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